にせよん(新)

4コマ漫画の購入記録、時々感想。

矢継ぎ早のリリー

「短編集」という言葉がコレほど似合う短編集にお目にかかったのは随分久しぶり。


連作もなく、時も所も人も違う、本当にバラバラの物語。変に「実は隠された共通のテーマが」みたいなものも(今のところ)ないという構成。「自分的のはこの物語が」「このキャラが気になる」と思わせ、なにより「続きが読みたい」と思わせるものばかり。こういう世界がポンポンと浮かんでくるのが「創作するもの」のチカラなのだなあ、と改めて感じるとともに、そういうのをはっきりと魅せつけてくれるうれしさ。


そして読み切り短編ならではの「物語が始まって、終わる」心地良さ。いわゆる後味の悪いエンディングのものがないのが個人的には嬉しい。かといって単純なハッピーエンドってわけでもないが、「うわーここで終わっちゃうんだー」と気味悪さで跡を引かずに、スパンと切りよく物語が完結するが故の切れ味の良さ。


繰り返しになるが、短篇集らしい短篇集を久しぶりに読んだ気分。全く何の予備知識無くこの作品に出会うことができた人がいたとしたら、心の底から羨ましくてしょうがない。「たまたま知人の本棚にあったのを手に取って」とか、ある意味理想的な出会いですよもう。