- 作者: ざら
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/05/27
- メディア: コミック
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相変わらず隙のない密度と完成度。
読んでいて「なんだか無性に腹が立つ」という種類の感想を持つ作品があります。
その大部分は出来のひどさに憤るとかいう話ではなく、「ドラえもんでのび太の情けなさに本気で怒る」という程度の、レベルが低いというか、ある意味とても「いいお客さん」な反応として、の話な訳ですが。
ただ、「大部分」と言う表現上、ごく少数ながら、そういう単純な理由に含まれない怒りを呼び起こす作品もまた存在する訳で。
そういうのって大概、世間一般では普通にある作品、別にわざと読者を挑発しているようなところは微塵もない、尖ったところなどない作品に対して起こることが大半。
むしろ完成度的にはまったく問題のない作品に対してこそ起こりがちというか。
おそらく、あまりにそつなく楽しませてもらえるが故に、作者側から対象読者として完全に「見透かされてる」感じがして、実際その想定通りに収まってしまっている己の「分かりやすさ」に耐えられないんでしょう。まあなんて見事な逆ギレ*1。
で、本作。
こういう書き方すると当然ながら、「ああ、そういう印象なんだ」という結論に普通なるのですが、この作品に対してはそれとはまた少し違った感情を持たざるを得ないのですね、じつに紛らわしいことに。確かに交流さんの完璧超人ぶりとかは「漫画のキャラにマジ嫉妬」をかなり感じたりはしてますがね(浅いなー)。それと上記の「完成度が高すぎて、逆に……」の感情は間違いなくあります。
でも、時に不条理な怒りを覚えながらも、同時に普通に新刊の発売が待ち遠しく、書店では躊躇なく手に取って買うことができるという不思議な存在でもあるのです。
なぜ最終的に許せてしまうのか?
そんなことを考えつつ、後書きを読んでいたら出てきた「(アニメ化について)これっぽちも予定なし!」。
……ああ、結局はそこなのか?よくある天の邪鬼パターン。
見透かす以前に、自分から勝手にテンプレに収まりにいってるっつーの。
*1:丁度、チビキャラが「お前、俺のことをチビって思っただろ!」と、その手の空気を敏感に(言いがかり的に)察知するような感じでしょうか。