にせよん(新)

4コマ漫画の購入記録、時々感想。

上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花

 

いやあ……やっぱりすげぇ作品だ。

今巻のメインシーン「しゃっくりとげっぷの交換で互いの想いを確かめあう百合」ってここの文字面だけ見るとなんだそりゃ出落ちのギャグ漫画か? て思うのが普通のところが実際読み進めてたどり着くとその表現は間違いではなく、同時に美しくも詩情豊かに描かれたラブシーンだというんだからホンマこの作者は……やってくれる!

 

しかしぼたんてもっと天然というか自覚なく周りの気持ちを振り回してズルい! でも許される愛される、さすが主人公! て感じのキャラかと思ったら意外とあっさり己の感情をいぶきさんに打ち明けてあらあらこれは、ていう感じ。なるほどこれは “All is fair in love and war.” ですなあ。

 

争いといえば郡上先輩がな……頼むから報われて欲しいと心から思うんじゃよ……まあ登場人物全てが誰かしらとくっつくいてめでたしめでたし、みたいなのが全然ハッピーエンドじゃないと思うし、そうでなければならないルールなんてどこにもないとはいえ、この巻までの状況では先輩あまりにも当て馬が過ぎて哀れ(あえてこの表現)過ぎる……きっとそんな使われ方で終わるわけないと信用してはいるがさて。

 

個人的にここまで先輩に肩入れするのは単に見た目が好きとか判官贔屓とかはもちろんあるのだが(ええがっつりありますよ)、なんといっても先輩が「喫煙者であること」この一点があまりにもデカい。

フィクションの世界ですら紫煙をくゆらせることが憚られるこのご時世、「カッコ良くタバコを吸う」シーンを見せてくれるキャラに同じ喫煙者として肩入れをせずして誰を推せというのか?

そう、世の中のほぼ大多数の人にとって「お酒の漫画」であるこの作品は、ひょっとして俺しかいねえんじゃねえかっていうごく少数派にとっては同時に「タバコの漫画」であるのだ。

 

願わくばこの先、先輩が救われる描写とともに、今までお酒について語られていたようにタバコについても描かれて欲しい、と儚い希望を口にする。

お酒の味と心情がリンクしていくように、先輩がタバコの銘柄と己の気持ちを語る日が来てほしい……いやでも先輩とくに銘柄や味にこだわりとか無いキャラかもしれないな、それはそれで好きだ(完全に盲目状態)